空き家を所有している方は、様々な管理やメンテナンスが必要になります。その中でも、意外と忘れがちなのが浄化槽の管理です。放置すると、悪臭や環境汚染などの問題を引き起こす可能性があり、近隣住民とのトラブルにもつながることも。今回は、空き家の浄化槽を放置することで何が起きるのか、長期間使用しない場合の対応方法、管理方法などを詳しく解説します。適切な管理方法を選択し、安全・安心な状態を保つために、ぜひ参考にしてください。
空き家の浄化槽を放置するとどうなるのか?
空き家の浄化槽を放置すると、様々な問題が発生する可能性があります。具体的には、以下の様なことが考えられます。
悪臭が発生する
浄化槽は、微生物の働きで汚水を分解し、きれいな水にして放流する装置です。しかし、清掃を怠ると、浄化槽内に汚泥が溜まり、微生物の活動が阻害されます。その結果、汚水が十分に分解されずに腐敗し、悪臭が発生する原因となります。特に、ブロワと呼ばれる、浄化槽内に酸素を送り込む装置の電源を切ってしまうと、微生物は酸素不足で死滅し、悪臭を発生しやすくなります。悪臭は、近隣住民に迷惑をかけるだけでなく、住居環境の悪化にもつながります。
排水が流れなくなる
浄化槽内の汚泥が溜まると、浄化槽の機能が低下し、排水が流れにくくなることがあります。最悪の場合、排水が完全に詰まってしまい、トイレが使えなくなる事態も考えられます。そうなると、生活に支障をきたすだけでなく、修理費用も高額になる可能性があります。
近隣への迷惑となる
悪臭や排水トラブルは、近隣住民に多大な迷惑をかける可能性があります。特に、悪臭は、風向きによって遠くまで届く場合もあるため、近隣とのトラブルに発展するリスクも高まります。
法的罰則が科される可能性がある
浄化槽の管理には、浄化槽法という法律に基づいた義務があります。定期的な清掃や点検をおこなわなかった場合、法律違反となり、罰則が科せられる可能性があります。具体的な罰則としては、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるケースも考えられます。
環境汚染につながる
浄化槽が正常に機能せず、汚水がそのまま排水されてしまうと、河川や地下水を汚染する可能性があります。環境汚染は、生態系への影響や水質悪化など、深刻な問題を引き起こすため、絶対に避けなければなりません。
空き家の浄化槽を長期間使用しない場合の対応方法
空き家の浄化槽を長期間使用しない場合は、適切な対応が必要です。具体的には、以下の様な方法があります。
浄化槽の休止届を提出する
空き家の浄化槽を長期間使用しない場合は、浄化槽の休止届を、お住まいの地域の市町村に提出しましょう。休止届を提出することで、浄化槽法で定められた保守点検や清掃などの義務が免除されます。ただし、休止届を提出する前に、浄化槽の清掃や水抜き、消毒など、必要な手続きをおこなう必要があります。休止届の提出方法や必要な手続きについては、各市町村によって異なるため、事前に問い合わせるようにしましょう。
定期的な点検・清掃を行う
浄化槽の休止届を提出しても、浄化槽の機能を維持するためには、定期的な点検や清掃は必要です。最低でも年1回は、専門業者に依頼して、点検や清掃をおこなうようにしましょう。点検や清掃の費用は、浄化槽の規模や地域によって異なりますが、目安として、年1回の清掃で3万円から5万円程度、月1回の点検で5000円程度と考えておくと良いでしょう。
電気・水道の供給を停止する
浄化槽のブロワは、電気で動作するため、電気の供給を停止すると、ブロワが停止してしまいます。ブロワが停止すると、浄化槽内の微生物が酸素不足となり、死滅してしまいます。そのため、浄化槽の機能を維持するためには、電気の供給を停止しないようにしましょう。また、浄化槽の清掃や点検には、水を使用するため、水道の供給も停止しないようにしましょう。
浄化槽の維持管理を専門業者に委託する
浄化槽の管理を専門業者に委託することも有効です。専門業者であれば、浄化槽の点検、清掃、修理など、必要な作業をすべておこなってくれます。また、浄化槽に関する法律の知識も豊富なので、安心して任せられます。ただし、専門業者に委託する場合は、費用がかかることを覚えておきましょう。費用は、業者によって異なるため、事前に見積もりを取るようにしましょう。
浄化槽の撤去を検討する
空き家の浄化槽を今後も使用しない場合は、撤去を検討しましょう。浄化槽の撤去には費用がかかりますが、撤去することで、浄化槽の管理費用や、将来発生する可能性のあるトラブルを回避することができます。撤去費用は、浄化槽の規模や構造によって異なりますが、目安として、10万円から30万円程度と考えておくと良いでしょう。
空き家の浄化槽の管理方法と費用
空き家の浄化槽の管理には、以下の様な費用がかかります。
浄化槽の点検・清掃
浄化槽の点検・清掃は、専門業者に依頼するのが一般的です。費用は、浄化槽の規模や地域によって異なりますが、目安として、年1回の清掃で3万円から5万円程度、月1回の点検で5000円程度と考えておくと良いでしょう。
浄化槽の法定検査
浄化槽の法定検査は、年に1回、自治体が指定した検査機関がおこなう検査です。費用は、浄化槽の規模や地域によって異なりますが、目安として、5000円程度と考えておくと良いでしょう。
浄化槽の修理・交換
浄化槽が故障した場合、修理または交換が必要になります。修理費用は、故障の内容によって異なりますが、交換費用は、浄化槽の規模や種類によって異なりますが、目安として、10万円から50万円程度と考えておくと良いでしょう。
浄化槽の維持管理費
浄化槽の維持管理費は、点検・清掃、法定検査、修理・交換などの費用を合わせたものです。費用は、浄化槽の規模や地域、使用状況によって大きく異なりますが、目安として、年間5万円から10万円程度と考えておくと良いでしょう。
浄化槽の撤去費用
浄化槽の撤去費用は、浄化槽の規模や構造、撤去方法によって異なりますが、目安として、10万円から30万円程度と考えておくと良いでしょう。
空き家の浄化槽に関するよくある質問
空き家の浄化槽に関するよくある質問をまとめました。
浄化槽の休止届の提出方法
浄化槽の休止届の提出方法は、お住まいの地域の市町村によって異なります。事前に市町村の担当窓口に問い合わせて、必要な書類や手続きを確認するようにしましょう。
浄化槽の管理費用はどのくらいかかるのか?
浄化槽の管理費用は、浄化槽の規模や地域、使用状況によって大きく異なりますが、目安として、年間5万円から10万円程度と考えておくと良いでしょう。
浄化槽の清掃は自分でできるのか?
浄化槽の清掃は、専門的な知識や技術が必要となるため、一般的には、専門業者に依頼する必要があります。自分で清掃をおこなうのは危険なため、絶対にやめましょう。
浄化槽の撤去費用はどのくらいかかるのか?
浄化槽の撤去費用は、浄化槽の規模や構造、撤去方法によって異なりますが、目安として、10万円から30万円程度と考えておくと良いでしょう。
浄化槽の管理を専門業者に委託する場合、費用はどのくらいかかるのか?
浄化槽の管理を専門業者に委託する場合は、業者によって費用が異なります。事前に複数の業者に見積もりを取って、比較検討するようにしましょう。
まとめ
空き家の浄化槽は放置すると様々な問題が発生する
空き家の浄化槽は、放置すると悪臭、排水トラブル、法的罰則、環境汚染などの様々な問題を引き起こす可能性があります。そのため、適切な管理方法を選択することが重要です。
適切な管理方法を選択し、安全・安心な状態を保つことが重要
空き家の浄化槽の管理方法は、浄化槽の休止届の提出、定期的な点検・清掃、電気・水道の供給停止、専門業者への委託、撤去など、様々な方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、空き家の状況や予算に合わせて、最適な方法を選択するようにしましょう。
専門業者に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けることができる
浄化槽の管理は、専門的な知識や技術が必要となります。そのため、専門業者に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。浄化槽の管理でお困りの方は、専門業者に相談することをおすすめします。